『頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)』を最速で学ぶ
私は過去に、ある研究所で「オステオパシー療法」の括りの中の一つとしての位置づけで、
『頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)』
を勉強させていただく機会を得ましたが、まず最初に学んだのは
『10ステップ・プロトコル(10段階の治療手順)』
と言うものでした。
学ばせていただいたのは、はるか昔のことですので、今はどうなのかはわかりませんが、
『頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)』
は、全身のどの部位からでも『脳脊髄液の循環リズム』に伴って発生する、体のわずかな動きを触診できる繊細な手の感覚が要求されるため、当時は治療家の方でも苦手意識を持たれる方が多かった様に思います。
私の場合は、たまたま…と言いますか、運よく…と言いますか、なぜかこの施術法との相性が良かったようで、習い始めたその瞬間に、この『脳脊髄液の循環リズム』に伴って発生する、体のわずかな動きを触診することがき、それ以来メインの施術法の一つとして、様々なケースに応用してきました。
この『頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)』は…
アメリカのジョン・E・アプレジャー博士によって開発されたもので、様々な難治性の症状に素晴らしい効果を発揮することで有名で、掘り下げていけばいくほどに止めどもなく奥深く、難解なものでもある様に、個人的には感じています…。
でもその反面、その良しあしは別として(私は良い意味で…と言う前提でこれ以降を進めさせていただきますが…)、この『頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)』の極々一部の、そのエッセンスをうまく使いこなせば、
この施術法に苦手意識を持っている施術家の方でも、現在お持ちのテクニックにそれをプラスアルファすることが出来ますし、
一般の素人の方でも、ご家族やご自身の健康管理のための、優れた家庭療法としてご活用いただけるのではないかと思います。
…と言う事で、これ以降何回かにわたって、
『頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)』の『10ステップ・プロトコル(10段階の治療手順)』の中から、いくつかの手法について取り上げ、それをどなたにでも行っていただけるように、私なりに分かりやすく解説させていただきたいと思います。
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お願い
このページで紹介させていただいている『頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)』の『10ステップ・プロトコル(10段階の治療手順)』についての考え方やその方法は、私が過去に専門の研究機関で学ばせていただいた事をベースに、私個人のこれまでの経験を通して体得した、自分なりのコツや考え方も一部取り入れています。
この点を事前にご理解いただいた上で、これ以降の内容を読み進める場合には、必ず以下の重要確認事項をお読みの上、その内容の全てに同意していただける方だけがお読みください。
※同意していただけない方は、今すぐこのページを閉じて下さい。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
これ以降の内容をお読みになった時点で、上記の免責事項をご了承頂いたものとみなします。
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1.理論編
(1)頭蓋骨は動いている…
…さて、その「頭蓋仙骨療法(クレニオ・セイクラル・セラピー)」
『10ステップ・プロトコル(10段階の治療手順)』
についての解説に入りたいところなのですが、その前に皆さん…
「頭蓋骨が動いていること…」ごぞんじでしたか…!?
うそのようなホントの話!頭蓋骨はゆ~ッくりと静かに動いています…
例えば皆さんの頭のてっぺんのあたりを5gぐらいの力(よく言われるのはA4サイズの紙一枚ぐらいの重み…)で、両方の手の平でまんべんなく、包み込むように触れてみて下さい。
そして、心を静めて、手の平と頭部の接点に意識を集中していると、わずかに頭蓋骨が膨らんだり、しぼんだりしているのが、わかる人にはわかると思います(最初はなかなかわからないくらいの非常にわずかな動きです…でも慣れれば誰にでもわかります)。
これは、脳から脊髄全体をまるで洗うかのごとく、一定のリズムでゆっくりと循環している脳脊髄液と呼ばれる無色透明の液体が、ポンプの様な作用で頭蓋内で生成されたり、脊髄の方向に流れていくときに時に起こる現象で、
この動きは、頭蓋骨の様々な箇所で、また慣れてくれば全身のいろいろな部位において、触診で確認することが出来ます。
この脳脊髄液と呼ばれる無色透明の液体は人の生命の源とも言われ、人体にとっては重要な役割を果たしています。
特に人間が本来持っている自然治癒力は、この脳脊髄液の循環が正常に行われているかどうかによって大きく影響を受け、この脳脊髄液の流れがわるくなれば、神経に十分な栄養が供給されず、代謝機能が低下し各器官の正常な働きが阻害される為、その状態が長引くと、病院では異常なしとされながらも、すっきりと取り去ることの出来ない、様々な慢性的な症状を引き起こす原因となったりもします。
この脳脊髄液の循環の正常なリズムの目安については諸説いくつかあるようですが、健康な人で、通常毎分6~12回とも言われていますので、自分自身で、この脳脊髄液の循環リズムを測定すれば、今現在の自分の健康状態や自然治癒力、免疫力がどの程度のレベルで維持出来ているかを知る事が出来ます。
そして、このリズムが毎分6回を下回っていたり、逆に12回を大きく上回っている状態になっていれば、人体に何らかの変化が起きている可能性がある…と判断することもでき、このリズムを正常な状態に戻すための何らかの処置が必要となる訳ですが、
この様な時に抜群の威力を発揮するのが、頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)です。
この頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)は、何らかの症状を訴えている方の、頭蓋骨のそれぞれの、縫合部分のミリ以下の僅かな開閉や全身の各部位をつぶさに触診し、脳脊髄液の循環リズムの異常が診られる部位を見つけ出します。
そして、それらの異常箇所に極めて軽い圧力でタッチし(よく5gのタッチと表現されます…)、脳脊髄液の循環リズムが自然に正常な状態に回復して行く様に導いていく、安全で極めてナチュラルな治療法です。
非常に軽いタッチ(イメージ的には5g程度…)で触れるため、受けている方はまるで何をされているのかわからない様な印象を受けることと思いますが、不思議なもので、この非常に軽いタッチに人間の体は極めて良く反応し、不安定になっていた『脳脊髄液の循環リズム』が自然に正常な状態に回復していきます。
そして、この『脳脊髄液の循環リズム』が正常化されることによって、機能低下を起こしている部位は適度に亢進し、過剰に機能が亢進しすぎている部分は、適度に鎮静化してくるという興味深い反応が起こり、
このことによって、全身の機能の正常化とその方に必要な全身調整がなされ、様々な症状が快方に向かいやすくなるのです。
(2)本当にできるのか…!?
ここまでの説明を読むと、「そんな難しいことが素人にできるのか…?」と思われる方もいるかもしれませんが、実はありがたいことに…
特に専門的知識をもたない素人の方や、まだ脳脊髄液の循環リズムの異常箇所のある部位を触診できるだけの手の感覚がない方でも、この「10ステップ・プロトコル(10段階の治療手順)」の通りに、相手の体に触れていてあげるだけで、安全に十分な効果が出せることが多くあるのです。
この点がこの療法の家庭療法としての取り組みやすさの理由ですし、さらにこの『頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)』は他の治療法とも大変相性が良く、専門医の先生が行ってくれる病院での治療に対しても、その邪魔をすることなく、逆にそれをより効果的なものにしてくれる可能性が高いです。
例えば、病院での専門的な治療の過程でやむを得ず発生してくる、様々な副作用の問題なども、最低限に抑えられることが実際に多くあります(体内の浄化作用、解毒作用が高まります…)。
(3)注意すべき点…
このサイトでは、『頭蓋仙骨療法(クレニオ・セイクラル・セラピー)』の数ある技術の中から、一般の方が、家庭療法として応用しても差し支えない範囲の、極々一部の技術を解説し、必要な方には家庭療法として、自分自身はもちろんのこと、ご家族や大切な人のために、自己責任の範囲内で行っていただけるようになることを目的としています。
しかし、この『頭蓋仙骨療法(クレニオ・セイクラル・セラピー)』が極めてソフトで安全な方法であるとは言え、取り組むにあたって最低限注意しておくべき点もあります…。
具体的なテクニックについては、これ以降の投稿で順次解説していきますが、この『頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)』は頭蓋~仙骨間の脊髄内の『脳脊髄液』の流れを調整する訳ですから、体の中での水の成分の圧の変動(水圧の変動…)、すなわち体内圧の変動が発生します。その為…
①脳血管障害(脳卒中や脳梗塞など)で現在医師の厳重な管理下にある状態の方。
②血圧の異常に高い方
などに対しては、全くのノンストレスと言う訳でもありません…。
でもその反面、実際にはこの①~②のような方にも、この『頭蓋仙骨療法(クレニオ・セイクラル・セラピー)』は非常に有効に作用すると言う事実もあります…。
脳血管障害の既往のある方なども、自宅での生活がどうにか可能になっているレベルであれば、この療法に取り組むことによってその予後が非常に良くなる場合もありますし、高血圧でお悩みの方でも、血圧の安定化に大きく役立ちます。
その意味では、このような方々にこそ積極的に取り組んでいただきたいので、私自身はこれらの方々に対してもドンドン施術していますが、前述の通り体内の水の成分の圧の変化を起こし、『脳脊髄液の循環リズム』を正常化していくわけですから、そのプロセスで、頭蓋をはじめ、体内の各部位に何らかの圧力変化が起こりますので、それなりの配慮と慎重さは絶対に必要です。
このページをお読みの方は、あくまでも自己責任の範囲内で取り組んでいただかなければなりませんので、この点を十分にご理解の上、くれぐれも慎重な判断をお願いいたします。
③現在、出血性の疾患のある方
…体液循環が急速に活発になりますので、現在内臓などから出血があり、医師の治療を受けている方には行わないで下さい。
④常識的に考えて、医師の専門的治療を優先すべき状態にある方。
⑤上記以外でも、相手の方が嫌がったり、あなた自身の判断で、施術をためらわれる様な状況にある方には行わないで下さい。
上記のことが十分に理解でき、厳守できる方だけ、これ以降にお進み下さい!
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(4)脳脊髄液の循環している場所
さあ、それではいよいよ「頭蓋仙骨療法(クレニオ・セイクラル・セラピー)」の勉強をはじめることにします!
まず、下の図をもとに、この『頭蓋仙骨療法(クレニオ・セイクラル・セラピー)』のポイントとなる“脳脊髄液の循環リズム”について、ご説明します。
この下の図は、人間の“脳”と“脊髄”の断面を、側面から見たものです。上の丸い部分が“脳”、そしてしっぽの様に下まで長く伸びているのが“脊髄”で、脊柱管と言われる背骨の穴の中を通り、仙骨と言われる骨盤を構成する骨までつながっています。
この“脳・脊髄”を包み込むように、頭蓋骨から仙骨までの間の椎骨の内側には硬膜といわれる膜があり、さらにその内側に、クモ膜と軟膜があり、これらが脊髄をおおい、保護するように付着しています。
(注:椎骨とは…いわゆる背骨といわれるものを構成する首~腰までの間に連なっている一つ一つの骨のこと。)
そして、“脳脊髄液”は図の様に、硬膜、クモ膜と軟膜の間を循環し、全身の神経組織への栄養供給を行っています(ただし、この図はかなり大雑把に描かれていて、実際の脳脊髄液の流れは図中の赤い矢印の様な流れとは異なります…だいたいのイメージとしてご理解下さい)。
その為、何らかの理由で…例えばどこかの椎骨の位置がわずか数ミリでも変位を起こしただけで、それに引きずられて、硬膜のねじれなどが起こり、その部分だけ“脳脊髄液” が流れる隙間がせまくなってしまいます。
こうなりますと“脳脊髄液”の正常な流れが滞ってしまい、神経組織への栄養不足がおこり、これが原因で慢性的な痛みやいろいろな症状が起こることも多いのです。
この様な状態のとき、この問題のある箇所に極めて軽い圧力でタッチし、“脳脊髄液の循環リズム”が正常な状態に、自然に回復して行く様に導いていくのが、今回皆さんが学ばれる『頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)』と言われるものです。
この続きは、『頭蓋仙骨治療(クレニオ・セイクラル・セラピー)』を最速で学ぶ